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| 8 ジンとジョウスケ・・・・・・ヴァルゼリオンとヴァルレオン・・・・ ・・互いの左腕が、相手の頭部めがけ、凄まじい速さで突き出された。 ヴァルゼリオンとヴァルレオンの腕は交差し、相手の顔面に向かう。しかし、二人と も向かってくる腕に恐れる事も無く、むしろ更に足を踏み込ませる。 互いの踏み込ませた足がどうしがぶつかり合うが、放った腕の方は二人とも、紙一重 の間合いでかわしていた。 しかし、ジョウスケは自分の向けた銃口が狙いを外したと理解した瞬間、すぐさま右 手の銃を、ヴァルゼリオンの脇腹に押し付けてきた。だがジンも、ヴァルレオンの動 きに反応し、とっさに前方宙返りを行って銃口を外す。そしてそのままヴァルレオン の後頭部めがけ、踵蹴りを放った。 「うおっ!?」 ジョウスケは、蹴りの軌道から逃げる為、恥も外聞も無く、前方に転がった。その 為、ヴァルゼリオンの蹴りは、ヴァルレオンの後頭部を掠める程度の損害しか与えら れなかった。更にジョウスケは、倒れた体勢からすぐさま仰向けになり、両手の銃を 宙に浮いているヴァルゼリオンに向かい銃口を突きつけた。 だが、ジンはとっさに重力操作によって、急速落下して射線から身を外し、地面に降 りる。ジョウスケの方も銃弾が当たらない事を察知し、既に体を起き上がらせてい た。 即座に立ち上がった二人の間に、静寂が流れる。木々の葉ずれの音や風の流れる音、 それどころかパイロットの息遣いすら聞こえるかと思えるような静寂の中、再び動き 出したのはジンだった。ジンは数歩踏み込むと大きく跳躍した。 「うぉぉぉぉっ!!」 一気に間合いを詰めたジンは、ヴァルレオンの顔面めがけて右足で飛び蹴りを放つ。 ジョウスケは、頭部を動かすだけで軽くその一撃をかわすが、ジンは瞬く間に左足で の蹴り上げの追撃を放つ。 「くっ?」 この一撃はさすがに予想外だったのか、ジョウスケは体を大きく反らせてかわす事に は成功するものの、体のバランスを大きく崩してしまった。 「やべっ!?」 「まったくだ!!」 ジンは、バランスを崩したヴォルレオンに向かい、振り上げていた左足を斧を振るう ように振り下ろした。それはスピード・間合いともに、先の攻撃を凌駕する物で、 ヴァルレオンが慣性を消して回避を行っても直撃は不可避な物だった。 しかし・・・・・・ 「喰らって・・・・・たまるかよ!!」 ジョウスケは、慣性を消して一歩後退をしながら、銃を撃った。発射音を聞いたジン は、一瞬それがジョウスケの悪足掻きだと思った。 だが、その認識は間違っていた。ジョウスケはジンに向かって撃ったのではなく、地 面に向かって撃ったのだ。 ジョウスケが銃を撃った瞬間、体にかかる慣性を消していた為、ヴァルレオンの体は 銃を撃った反動で大きく動いた。 「なにっ?!」 ヴァルレオンの予想を反した動作によって、ジンが放った回避不能だったはずの渾身 の踵落しが、完全に回避された。 「ヒューッ!やってみるもんだな!!」 ジョウスケは安堵の一息をつきながらも、すぐさま右手の銃を宙に浮いたままのヴァ ルゼリオンに向けて撃った。 「チッ!!」 ジンは銃弾をかわしながら、落下を加速して地面に滑り込み、ヴァルレオンに左足で スライディングキックを放つ。しかし、ジョウスケはすぐさま反応し、ヴァルゼリオ ンの蹴りを前方宙返りをしてかわし、そのまま銃弾を撃った。 ジンは地面を転がって銃弾を回避しながらヴァルレオンに近寄り、そのまま飛び膝蹴 りを放つ。だがジョウスケはとっさの機転で、ヴァルゼリオンの膝蹴りを銃底で受け 止める。だが・・・・・・ 「やべっ!?」 ジョウスケは膝蹴りを受け止めた刹那、後方に大きく回転しながら必死にヴァルゼリ オンから間合いを取った。その瞬間、ヴァルゼリオンの膝から、機体の大きさほどの 重力が発生する。ヴァルレオンは、その重力にコートの端を千切られながらも、どう にか直撃は回避した。そして両者とも再び同時に着地する。 だが、さっきと違って、今度は沈黙は無かった。 「ははっ・・・・・・。インパクトの瞬間に、最速で重力を作りやがるなんてな・・・・・・」 「速度低下を最小限に抑える方法だ。軽く見た相手を騙すなんてわけない」 「だろうな・・・・・・。危うく殺られるところだったぜ」 「俺は殺れると思ったけどな」 「ハハハハハ・・・・・」 「ハハハハハ!!」 そう言うと二人は笑い出した。もはやこの二人の思考は他の者には全く理解できてい なかった。激しいまでの殺意を剥き出しにしたかと思えば、軽口を言い合って笑い出 す・・・・・・。なぜか、他の者にはジンとジョウスケの事が、殺し合う敵同士と言うより も、親友同士がジャレあっているようにも見えていた。 一頻り笑った後、ジョウスケが不意に呟く。 「でも・・・・・・このままじゃ決着つかねえな」 「ああ。これじゃあ無意味に時間がかかるだけだ」 「そうだよな。じゃあさ、こうしないか?」 そう言うと、ジョウスケはいきなりヴァルゼリオンから距離をとった。すると、そこ から足を引きずって地面に線を描き出した。他の者は、もはやついていく事をあきら めたのか、傍観しているだけだった。 十数秒後・・・・・・ 「よし、できた!!」 ジョウスケは、一仕事終えたかのように一息ついた。 ジョウスケが描いた物は、円だった。ついさっきヴァルゼリオンとヴァルレオンが 立っていた場所を中心にして、円は作られていた。その大きさはヴァルゼリオンや ヴァルレオンのようなドミネータークラスの体格にしては狭く、直径は、ドミネー ターの四歩分も無かった 「なるほどな・・・・・・」 「わかった?」 ジンは、ジョウスケの意図していたことを理解し、苦笑した。ジョウスケのほうもジ ンが理解した事を察して笑い出し、そのまま二人で円の中心に向かった。 「やってくれんの?」 「めんどくさい事は嫌いでな・・・・・・・」 そう言うと、二人は再び構えを取る。しかし、今度の間合は異常に狭く、構えを取っ た時に互いの足が交差をしていた。 「ルール確認するぜ。『線から出ない』『飛行はしない』でいいな?」 「OK、OK。じゃあ・・・・やるか!!」 そう・・・・・・。ジンもジョウスケも、通常の闘いでは自分達の闘いに決着をつけるに は、あまりにも時間がかかることを理解していた。だから彼らは決めたのだ『零距離 決着』を。 もはや二人の加熱した闘争本能は止まらず、目の前の相手に勝利するその瞬間まで、 彼らは互いしか知覚する事ができなかった。 |
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