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変わらない、それが久々にあった叔父・ノブユキに対するジンの感想だった。真紅のリオン・ヴァーミリオンの機体ごしながらも伝わってくる独特の迫力に、ジンは無意識に身構える。


「久しぶりだな、ジン。お前が15の時にイスルギの家を出て行って以来だから、4〜5年ぶりか?」


「ああ・・・・・・。しかし、それだけ経ってもオジキは、変わらないな」


「無論だ。私の仕事は、あの方を護りぬくことだ。あらゆる手を使ってな・・・・・・」


「まだ言ってんのかよ・・・・・・。あんな奴、死んだほうがマシだろうが!」


ジンは嫌悪の感情を隠す事無く吐き捨てた。ノブユキは、なぜか父のレンジを守る為にその人生を費やしている。


自分にとっては生きる価値の無い男でしかない父・レンジを、なぜここまでして守るのかジンには理解できない。そして、その狂信とも言うべき信念は、新型のAMを持ってきてまで甥である自分を殺そうとまでしているのだ。


「オジキ、俺は、アンタが何を言おうが・・・・・・いや、何をしようが俺のするべき事は変わらない!邪魔するなら、オジキだろうが容赦はしない!!」


「だからどうした?」


「あ?」


「私はもとよりそのつもりだ。レンジ会長を守る為、お前を殺す。その為に試作型『ヴァーミリオン』を持ち出してきたんだ。闘うからには、確実に仕留めさせてもらう」


その言葉と共に、突然ジンの周囲の空気が重くなった。いや、実際に空気が重くなったわけではない。ジンが重くなったように感じているのは、ノブユキが内に秘めていた殺意を自分に対して真っ向から放ってきたからである。


(さすがオジキというべきだな・・・・・・だが、それでも)


ジンは一度だけ深呼吸をして、ゆっくりと拳を挙げて、構えを取る。


「俺は死ぬわけにはいかないんだよ・・・・・・」


ジンは、言い終わる前にその身を動かし、ヴァーミリオンの顔面部に向かい、左拳を真っ直ぐに放つ。完全に機先を制した動きに、ジンは完全に勝利を確信する。


だが・・・・・・


「ぬるいな」


その瞬間、ジンの視界からヴァーミリオンの姿が突然消失した。


「!?」


ジンは、全くの予想外の事にせわしなく視線を揺らす。


「こっちだ、馬鹿者」


「・・・・・・下?」


ジンが声の聞こえてきた方向に目を向けると、ヴァーミリオンが推進装置を切って自由落下をしていた。


「ここは空だ。避ける方法はいくらでもある」


ノブユキは自由落下を止めて体勢を立て直し、備え付けのライフルを構え、弾丸をばら撒いてきた。


「チッ!!」


ジンは舌打ちをしながら、前方に転がるようにしてばら撒かれた弾丸を回避し、そのまま間合いを詰めようとヴァーミリオンに向かう。


「あんたの強さはわかってるが・・・・・・それだけじゃ、ドミネーターとPTの差は埋められないんだよ!」


 ジンは一撃でカタをつけるべく、慣性を操作して瞬時に最高速を引き出す。だが・・・・・・


「差だと?その程度でか?」


ヴァルゼリオンと同時にヴァーミリオンも同じ方向に飛行し始めた。しかも、信じられない事にヴァルゼリオンとヴァーミリオンの間合いが全く変わらないのだ。


「な・・・・・・追いつけない!?」


「そうだジン。それにお前は、まだ私には及んでない」


そう言うと同時に、ヴァーミリオンはライフルを腰だめに構え直した。


「多くは言わん。死ね」


ヴァーミリオンのライフルから、大量の弾丸が放出される。だが、ジンは瞬時に弾丸の起動を見切り、高度を下降させて弾丸をやり過ごした。


ヴァーミリオンは、射撃を止めずに銃口でヴァルゼリオンを追って来た。だが、それと共にヴァーミリオンの速度が低下したのを確認したジンは、この機を逃がすまいとヴァーミリオンに向かって突撃する。


ジンは、ばら撒かれる弾丸を避けながら、ヴァーミリオンとの間合いを徐々に詰めていく。


右の拳に力を込め、一撃でトドメを刺すべく徐々に間合いを詰めるジン。だが、それとは対照的にヴァーミリオンはスピードを変える事無く、機械的にライフルから弾丸をばら撒き続けている。その行動を見て、ジンは勝利を確信した。


(悪いなオジキ・・・・・・怨みはあの世に行った時に聞くからな!!)


ジンは心の中でだけノブユキに対して謝りながらも、ヴァーミリオンを射程距離に捕らえた。意外にあっけなかったという思いもあったが、今はそんなことを考えている時ではない。今すべき事はノブユキを倒し、日本にいる父親のレンジ・イスルギを殺すことだけなのだから。


気の迷いを振り切るかのように、右腕を振りあげたその時、二発の弾丸がヴァルゼリオンを直撃する軌道で接近してきた。


もはや避けるのも面倒なのだが、万が一を考えてジンは弾丸を接触スレスレで避けた。


しかし、その瞬間ジンの背筋に突然冷たい物が走った。はっきりとはわからないが、その感覚から今までの物とは比べ物にならないくらい危険な物だと言う事が本能で理解できた。


ジンは、咄嗟に自分が避けた弾丸に視線を送った。だが視線の先にあった物は弾丸ではなく、凄まじい閃光だった。


「何っ!?」


「ま・・・・まさか、これ!?」


ジンとカズエが声を発すると共に、閃光は二人の視界を完全に覆った。世界が真っ白になった瞬間、ジンはノブユキの言葉が聞こえた気がした。


『所詮、お前はこの程度だ』と・・・・・・。

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