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| 3 「我が社の要求は以上です。何か問題は?」 「いえいえ!問 題などあろうはずが・・・・・・・」 「それもそうですね。ではこれで」 イスルギ重工のエージェントは、そう言って話を終え、すぐさまその場所を出て行く のを『シズマ・タカギ(高木 鎮真)』は、隣にいる老人達に合わせて、頭を下げて 見送った。 「ふぅ・・・・・・いつもながら、このトップ会談は緊張する・・・・・・」 横にいる老人・・・・・・日本国総理大臣『ジュンジ・キズミ(来住 純冶)』の呟いた一 言に、シズマは顔に浮かぶ嫌悪の表情を隠すのに苦労した。たかが一企業のエージェ ントの話をただ受け入れるだけのどこがトップ会談なのか?シズマは、総理の思考を 少しばかりも理解出来なかった。しかし、それでもこの男の秘書である自分は、今は この男に付き従わなければならない・・・・・・。シズマは、必死に顔を取り繕い、冷静に 対処する。 「そうですね。では、そろそろ次の・・・・・・」 「そうだな。行くぞ」 さっきまでとは180度変わった態度を見せて、総理は秘書を引き連れて、専用車に 乗って公邸を後にした。 シズマは、車内で今後のスケジュールを確認しながらも物思いにふけるが、脇から総 理がシズマに向かい機嫌よくイスルギの事を話してきた。 「それにしてもレンジ会長も大変なようだな。だが、娘のミツコさんが亡くなってか らも、必死に日本のために苦労しているのだから、大変な物だ。私たちもあの仕事に 対する姿勢は見習わないとな」 「はい、そう思います」 自分で言った白々しい言葉に、シズマは吐き気を感じた。シズマは日本をイスルギの 支配下ら立て直そうと政治家を志し、実家が暴力団という事を最大限に利用して、裏 表問わず工作をかけた末、なんとか総理の私設秘書になったものの、政治の世界に 入ってわかったのは、自分のような人間はすぐに抹殺されると言うことだった ・・・・・・。 この国に・・・・・・いや、イスルギにとって必要な政治家は、自分の志(こころざし)を 持たない政治家だ。とにかく、イスルギの立てる案に対してイエスマンとなり、出さ れた案をあらゆる規制を反故にして通過させる事がこの国のトップとして最も必要な 能力なのだ。 そういう点では、今の総理は総理大臣としての役を演じるのにはもっともふさわしい 男だ。メディアや国会では、どこまでも自分を高く見せ「死んでもいい」とまで言っ て、豪傑ぶるのに対し、イスルギに対してはこれ以上無いという位の低姿勢で、決し て反抗しようという気概も無い。 「イスルギ重工は、日本の生命線だからね」と公言するとおり、彼はイスルギの援助 無しでは何も出来ない。しかし、それは彼だけではない。この国の政治家の9割はイ スルギがいなくなったら何も出来なくなる。つまり、イスルギは日本という国家を思 いのままに出来る権利を得ているのも同然だった。 もはや、これを覆すのには革命しかない・・・・・・と、思い浮かんだ言葉を打ち消すよう に、シズマの携帯が鳴った。 それは防衛庁からの連絡で「日本近海にジン・イスルギが接近。総理の指示を請う」 というものだった。 |
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